東京オリンピック後の施工管理技士の需要は増えていくのか?

ちょっといいっすか?

2020年の東京オリンピックにともなうインフラ需要や建設ラッシュにより、施工管理技士の需要が高まっています。東京オリンピックが終わった後、建設業界を取り巻く環境はどのように変わるのでしょうか。建設業界における施工管理技士の需要はなくなってしまうのでしょうか。この記事では、東京オリンピック後の施工技術者の状況や、需要に応えられる施工管理技士の特長を解説します。

東京オリンピック後であっても施工管理技士の需要が増える3つの要因

東京オリンピックが終わっても、施工管理技士の需要がなくなることはありません。むしろ、さらに需要が増加すると判断できる要素が3つあります。

1.東京オリンピック後も建設ラッシュが続く

2020年の東京オリンピック後も、インフラ需要は衰えず、建設ラッシュが続きます。巨大プロジェクトとしては、2025年開催の大阪万博や、2027年開通のリニア中央新幹線などが控えています。観光ビザ制度が緩和されたため、インバウンド事業を核とした建設プロジェクトも期待されています。また、1960年代の高度成長期のインフラの大規模改修や、情報通信技術(ICT)の発展に伴うITインフラの新設など、従来から存在する建設需要も継続します。そのため、実は施工技術者にとって、東京オリンピック後の状況はそれほど変わりません。

2.高齢化社会の進行にともない新たな建設需要が生まれる

東京オリンピック後の建設需要の1つが、高齢化社会に対応するための建設・修繕工事です。少子高齢化が進んだ結果、既存の住宅を住みやすくする「介護リフォーム」が増加しています。また、高齢者の増加に対応するため、介護施設の新築や公共施設のバリアフリー化も進行中です。今後ますます高齢化社会が進むと予想されており、工事現場を監督する施工技術者の需要も増加します。

3.東京オリンピック後も建設業界の人材不足は解決しない

少子高齢社会の進行にともない、施工技術者の高齢化も進んでいます。厚生労働省の「建設業における若年労働者確保の課題について」によれば、建設業の労働者のうち全体の約3分の1が55歳以上で、若手人材の確保が業界全体の課題となっています。[注1]

建設投資が減少傾向にあった2010年頃と比べ、どの企業も優秀な施工技術者を探しており、以前より有利な条件で雇用されやすくなっています。ただし、一部のスーパーゼネコンなどでは、東京オリンピック後の採用枠を据え置く方針を発表しています。とはいえ、団塊世代が今後大量に退職することを考えると、20代から30代の若手人材の需要はますます高まります。

東京オリンピック後の4大建設プロジェクト

2020年の東京オリンピック後も、引き続き大きな建設プロジェクトが予定されています。ここでは、そのなかでもとくに大きなプロジェクトを4つ紹介します。

1.カジノ法案によるIRリゾートの建設需要

2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(カジノ法案)」が成立し、韓国やアメリカ、ヨーロッパのように日本国内でもIRリゾートの営業が可能になりました。すでに東京、横浜、大阪、長崎などでIRリゾートの誘致を目指す動きが始まっており、とくにゲンティン・シンガポールは、日本のIR事業へ最大100億ドルの投資をすることを発表しています。ゼネコン側にとっても、リゾートやテーマパークの建設需要の高まりへの期待感があります。

2.2022年までに東京メトロ銀座線の全駅がリニューアル

東京メトロは、2022年までに銀座線の全駅を改装する計画を発表しており、今も各駅で改装工事やリニューアルが進められています。東京メトロの他にも、JR渋谷駅の改装工事など、全国の鉄道駅で大規模工事が予定されています。

3.2025年の大阪万博に向けたインフラ需要

東京オリンピックに匹敵する巨大プロジェクトが、2025年に開催される大阪万博です。万博の開催地となる大阪・夢洲(ゆめしま)は、大阪湾を埋め立てた人工島で、2025年の開催に向けて盛んにインフラ整備が行われています。たとえば、大阪メトロ中央線の延伸を始めとした公共交通網の整備や、統合型リゾートの誘致など、巨額のお金が動く建設プロジェクトが次々と計画されています。

4.2027年の開業に向けたリニア中央新幹線

2027年には、いよいよリニア中央新幹線が開業予定です。2027年までのプロジェクトでは、東京品川駅から長野県、岐阜県を経由し、名古屋駅までの開通が予定されています。2027年の開通後は、さらに2045年を目処として大阪駅まで延伸することが決定しており、引き続き数多くの建設工事の需要が見込まれます。

東京オリンピック後の需要に応える施工管理技士の2つの特長

東京オリンピック後の需要に応えるため、施工管理技士にはどのような知識やスキルが必要なのでしょうか。建設現場で働く外国人労働者への対応力や、情報通信技術(ICT)の活用力が、東京オリンピック後に求められる資質です。

1.現場で働く外国人労働者への対応力

外国人労働者の数は年々増加しており、2017年末の時点で127万8670人が働いています。[注2]

2019年4月には、建設業で働くことが可能な在留資格である特定技能1号、特定技能2号が新設されたため、建設現場で働く外国人労働者が増加していくと予想されます。これからの施工技術者は、現場で働く外国人労働者への対応力が必要です。外国人労働者への接し方やコミュニケーションのとり方を工夫し、必要な場合は英語などの外国語を使うことで、外国人労働者が現場に溶け込みやすいようサポートすることが大切です。

企業としても、外国人労働者対策を進めており、外国人労働者の扱いに長けた人材を欲しています。

2.i-Constructionに向けてITの理解をもっと深める

今後の建設業界は、労働生産性の向上や残業時間の短縮を目的として、情報通信技術(ICT)を建設現場に取り入れる「i-Construction」を進めていくことが予想されます。すでに、施工管理アプリケーションが広く使われており、現場での情報共有、日報の作成、現場写真や資料の管理などの業務効率化に役立っています。

また、ドローンやAIで地質調査を行う企業や、3DMC・3DMGなどのICT建機を活用する企業も増えています。ICTを活用し、現場作業を効率化できるかどうかが、東京オリンピック後の施工管理で大きく差がつくポイントです。

東京オリンピック後も施工管理技士の需要は増加していく

今回は、東京オリンピック後の施工管理技士の状況や、需要に応えるために必要な知識・スキルについて解説しました。東京オリンピック後も、インフラ需要や建設ラッシュが継続し、施工技術者として仕事をする機会はたくさんあります。また、高齢化社会にともなう新たな建設需要や、建設業界の深刻な人材不足も手伝い、施工技術者の需要はますます増えると予測されています。東京オリンピック後の需要に応えられる人材になるには、増えつづける外国人労働者への対応力や、建設現場で導入が進むICTの活用力を身につけることが大切です。

 

[注1]厚生労働省:建設業における若年労働者確保の課題について
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000182816.pdf

[注2]ニューズウィーク日本版:日本における外国人労働者受け入れの現状と今後の課題https://www.newsweekjapan.jp/kim_m/2020/01/post-7.php